上方配位子を考慮したビタミンB12同族体の定量
2017.02.14
生体にはビタミンB12の4種の同族体が存在するが、補酵素として機能するのはそのうち2種類である。同族体の含有割合は食品によって異なり、サプリメントなどで使用されるシアノ型は他の3種の同族体より利用効率が低い。また、ビタミンB12は吸収過程が複雑なため、特に高齢者では吸収不全を起こしやすく、ビタミンB12の不足から循環器疾患のリスク上昇が問題となっている。食品中のビタミンB12の含量は非常に少なく、これまで、その同族体の定量は困難であった。このため、本研究では、ビタミンB12の同族体の定量を本学に新しく設置した感度の高い質量分析計(LCMS)を用い縦医療法の確立を目指す。さらに、ビタミンB12の同族体の機能性に焦点を当て、利用効率の高い非シアノ型ビタミンB12を多く含む食品を同定する。これらより、食品ごとのビタミンB12の吸収率も考慮して、高齢者に適したビタミンB12不足解消のための食品を提案し、循環器疾患のリスク低減による健康寿命の延伸に貢献することを目的とする。