「近江かぶら」の祖先種と後代種に関する実験植物学的研究
2018.06.04
「近江かぶら」は大津市の伝統野菜の一つで、ミズナを祖先種としてスグキナ(酸茎菜)を経て成立したこと、江戸時代中期に京都に持ち出されて聖護院カブに改良されたこと、が伝承されている。しかし、これらの伝承は科学的根拠に乏しく再検討の余地を残している。
本研究代表者は、大津市の一戸の農家によって最近まで維持されてきた「近江かぶら」の種子を入手することができた。DNAマーカーを用い、「近江かぶら」とミズナ・スグキナとの比較を行って系統関係を明らかにし、さらに扁平な形の「近江かぶら」と丸形の聖護院カブを交配し後代の形状を調査することによって、「近江かぶら」の成立の過程と後代への展開の詳細を明らかにする。