新規乾燥耐性機構の研究
2017.02.14
陸生植物の進化的視点や、乾燥地域における作物増収の観点から、植物の乾燥耐性機構に関する研究は古くから盛んに行われている。現在までに、適合溶質の蓄積により生体膜を保護し、浸透圧を高める仕組み、根を深部にまで発達させ水を得る仕組み、気孔や葉の形態を変化させ水消費を抑圧する仕組みなどが明らかとなっている。これまで完全に乾燥したオオムギの根が休眠状態をとり、再び水分を得れば直ちにその構造と機能を回復させる劇的な現象を見出したが、乾燥に対するこのような応答は従来の常識を覆すものであり、種子や胞子以外、維管束植物において報告されていない。そこで、本研究は、この現象の機構を、組織化学的・生化学的・分子生物学的手法によって明らかにすることを目的としている。本研究の成果は、陸生植物の進化に新たな知見を提供し、乾燥耐性作物の作出に寄与する可能性がある。